今回は、「サプライチェーンマネジメントとマーケティング」についてのお話をしたいと思います。
何やら難しそうなお話に聞こえるかもしれませんが、ネット販売を行う上でとても重要なことなので、できるだけ分かりやすくお話したいと思います。
6月24日、iPhone4が発売になりました。その前の6月15日に予約が始まりましたが、予約が集中しすぎて、3日後の18日には、予約中止になりました。
予想以上の予約が入ったことが原因だということを言っていました。
このお話には、2つの側面があります。
1つは、予約が殺到して供給が間に合わなくなるような、供給計画、供給システムで、本当に臨んだのか?という点です。
もし、これが本当なのであれば、市場規模の計算をせず、とにかく、発売日に間に合わせるために初回出荷分だけを急いだということになりこれは、Appleもしくは、ソフトバンクのサプライチェーンマネジメントに問題があることを公言しているようなものです。
しかし、アップルやソフトバンクがそこまでの無計画さであるなんて想像しづらいです。
逆に、うがった見方をすれば、24日に当日発売分が少しありますと
いうことで、発売日に行列を作り、メディアの注目を集めることが目的だとすれば、サプライチェーンマネジメントが機能していないことそのものが、マーケティングになっていることになります。
しかし、すでに出荷しているiPhone4で、いろいろな不具合報告が出てきているので、出荷日に間に合わせで、製品チェックがおろそかになっていることが予測されるので、やはりサプライチェーンマネジメントの問題が生じている可能性は残ります。
そして、もう1点が、マーケティングの側面からの予約制御という見方です。
実際、予約はすぐに停止したのですが、予約再開したのが、24日の
発売日から。
そんなに予約が殺到したのであれば、予約再開のニュースが出たのでソフトバンクには人が殺到しているのではと思ったのですが、翌日の25日には、それほど予約に並んでいる人がいなかったのです。
うむぅ、まだ予約再開したことが知られていないのか・・・。
それとも、地元ではiPhoneが欲しい人が少ないのか・・・
いずれにしても、24日の発売日からの予約再開というタイミングが
何やらマーケティングの匂いを感じたのでした。
今回のこの件は、サプライチェーンマネジメント、いわゆる商品やサービスの供給システムの管理と、マーケティングは表裏一体であるということであることを如実に語ったケースでした。
よく人氣のあるラーメン屋さんは、席数を減らして、わざと行列を作り話題作り、口コミを喚起するしくみにしているということです。
行列ができるということは、サプライ=供給よりも、デマンド=需要を上回っていることを意味しています。
ネガティブに言えば、サプライチェーンマネジメントができていないということになります。
工業製品などの製造であれば、無駄を減らして、効率的に生産していくことで、生産コストを抑え、利潤を上げることで、サプライチェーンマネジメントが重要視されるのですが、セールスの分野においては、サプライのコントロールが、マーケティング=集客・口コミになるという不思議な現象が起きているのです。
実店舗を経営されているのであれば、このサプライチェーンマネジメントを逆手に取ったマーケティング展開は、「供給が遅い」というクレームをもらうリスクはありますが、「手に入りにくいものほど欲しくなる」という心理が集客や口コミにつながるので、使わない手はありません。
ただ、これをネット販売でやってしまうと逆効果です。
独占販売の商品で、世の中に認知されている商品やサービスであれば良いのですが、代理店販売で扱っている商品を、ネットで「予約は終了しました」なんてやってしまうと、確実にお客様は別のお店に行ってしまいます。
自ら「うちには在庫がありませんので、よその店に行って下さい」と言っているようなものです。
また、集客がうまく行って、売上もそこそこ上がってきた方がやってしまいがちなのが、「今、ご注文が殺到しており、お届けまで約3週間ほど頂いております。」と公言してしまうことです。
お客様への親切心から、ご説明しようと思って、こういうお知らせをしているのですが、これも、自ら「うちはサプライチェーンマネジメントができていないので、供給が間に合っていません」ということを言っていることになります。
人氣が出てきてアクセス数が増え、買いたいお客様が訪問してくれたにも関わらず、“買えない”もしくは、到着まで“時間がかかる”となると、そのお客様の落胆は図り知れません。
恐らく二度と、このお店では買わないことでしょう。
「他の商品も同じく届くのが遅いんでしょ。」って・・・。
サプライチェーンマネジメントは、集客とのバランス。
リスティング広告等にお金をかけて集客してきたにも関わらず、注文が殺到して、商品を供給できない、となってしまうと、広告費も無駄になってしまうだけでなく、将来入る予定だった収入も機会損出になってしまいます。
ネット販売の場合は、行列を見せることができないので、敢えて「注文殺到して遅れています」ということは、足かせになってしまいます。
それよりも、集客とのバランスをみて、アクセスを増やすためにコストをかけるのではなく、供給量を増やすための人員増強にコストをかけた方が、会社を大きくします。
一番は、信頼をなくさずに済むこと。これが、売上向上に逃せない重要項目になります。
情報商材やセミナーなど、独自コンテンツの場合は、サプライがないので、予約殺到で一時中止、予約再開というマーケティングテクニックは使えます。
この点も考慮して、会社全体の供給システムと、集客のバランスをよく考えて運用して行って下さいね。
今は、集客が少ないから関係ないよ、とは考えないで下さいね。
集客を増やすための施策を中心に行っていくわけですから、もし1つでもうまく行ったときに、一氣に需要が増えた時に、サプライチェーンマネジメントができていないと、信頼を損なってしまうということを忘れないでください。
今のうちからご確認下さいね。
今日のお話は少し難しかったかもしれませんね。
もしご不明な点などありましたら、お気軽にご質問ください。
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お待ちしております。
ということで、今日はこの辺で。
いつもありがとうございます。
菅 谷