今日は「売れる売り方」についてのお話をしたいと思います。
早速ですが、問題です。
あなたは、デパートのおもちゃ売り場で展示販売員として、フランス製のおもちゃのキッチンを売っています。
展示販売なので、そのおままごとキッチンには、ちびっ子たちが寄ってきて遊んでいます。
キッチン台の形をした、おままごとセットですが、男の子も女の子も関係なく、みんなで遊んでいます。
このおままごとキッチンは、組み立て式の少し大きめのもので、ちびっ子であれば、立って遊べる大きさのものです。
また、フランス製ということもあり、輸入品なので、価格は12,000円ほどします。日本製の小さなおままごとキッチンの倍以上の値段です。
さて、あなたなら、このおままごとキッチンを、周りで見ている親御さんにどのように売り込みますか?
ちょっと考えてみてください。
・・・・・
どうですか?何かいいアイディア浮かびましたか?
「これ」と言う正解はないのですが、いろいろなアプローチ方法が考えられます。
例えば、こんな風に声をかけてみてはどうでしょう?
「お子さんって大人のやることを見ているので、大人と同じことをしたがっているんですよね。
小さなおもちゃのおままごとセットよりも、より本物に近い、大人がそうしているようにできるキッチンのほうが好きみたいですね。
お友達同士でレストランごっこしている子もいますしね。」
もし、男の子が遊んでいたら、
「カリスマシェフって、ほとんどが男性ですよね。
それにキッチン遊びは、女子だけの遊びではなくて、大人の動きを見て真似しているので、実は、料理を作ったり、よそったり、配膳したりなど、自然に段取りを覚える練習になっているんです。
料理ごっこで学んだ段取りが、他のことでも応用が効くんですよね。」
という感じのお声がけはどうでしょう。
実はこれ、実際に私が親御さんたちに言ったトークなんです。
このトークで、1台12,000円するキッチンを、1ヶ月に10台以上売りました。
私がアメリカへの留学費用を捻出するためにアルバイトで行っていたのですが、有名デパートのおもちゃ売り場の店頭に立って、このおままごとキッチンや、当時では珍しかった押し手付きの三輪車などを販売していました。
正直なところ、最初はまったく売れませんでした。そんな販売の経験もなく、商品そのものを売ろう売ろうと、機能ばかりを説明していました。
しかし、途中から気づいてしまったのです。
「これは、フランス製で材質も・・・」と、商品の機能だけを説明していても売れないと・・・。
実際に遊んでいるちびっ子たちの動きを見ていると、お人形やヒーローなどのおもちゃと違って、お友達と一緒に遊んでいることに気がついたのです。
しかも、知らない子同士で・・・。
さらに、ちびっ子の中には、仕切る子や周りを見ながら協調する子など、そこに小さな社会ができて、そこで一緒に遊んでいたのです。
もしかしたら、こうした動きが、お家に帰っても兄弟やお友達の間でも起こりうるだろうなって思ったのです。
さらに、こうした大きいおもちゃになると、女の子よりも男の子の方が興味を示して、率先して遊んでいるのも分かったのです。
そこで、気になったのが、(お金を払う)お母さんの心情です。
「男の子なのに、おままごとなんて・・・」と気にされているお母さん方もいらっしゃったので、「大丈夫ですよ。一流シェフはみんな男ですから」って言うと、「えっ、そう言われれば、そうね。」って。
今なら「グランメゾン東京」と言えば、キラーキーワードになるかもしれませんね。
実際に、私も料理をするのが好きなので、料理は段取り力を養うのにとてもいいなぁと常々思っていました。
なので、「料理の真似をするのは、段取り力を鍛えるのにいいですよ。私も料理をするので、いろいろ役に立ってます」ってお伝えしたところ、お母さん方の共感を得ることができたのです。
言うまでもなく、このおままごとキッチンを販売した経験が、その後の私のマーケティングに大きな影響を与えたのは言うまでもありません。
商品の機能説明もさることながら、その商品を買った後、どうなるのか。
それを購入される方が、
・どういう心理状態であるのか
・実際にその商品を使ってい状況を見て、どういう使い方をしているのか
と視点で注意深く見ることで、これから購入されるお客様にとって、こうした情報が必要なんだ(反応する)と気がついたのです。
そして、それらの情報を実際にお客様(お母さんやおじいちゃん、おばあちゃん)にお話したところ、売上につながっていったわけです。
この“売り方”が見えてきたので、おままごとキッチンだから売り先は女の子だと決めつけず、興味を示した男の子にも積極的に遊んでもらいました。
なので、「レストランごっこしませんかぁー」と呼び込みをして男女問わず、集まってもらい、一緒に遊んでもらいました。
そうすることで、周りにお話ができる親御さんが集まります。(見込客の獲得)
そして、実際に遊んでもらっている姿を見てもらい、こちらを観察します。(見込客の行動分析)
普段と違うお子さんの顔を見ている親御さんが「何かいつもと違うかも」となったらセールスチャンスです。ここで、反応してくれた方に、セールストークを展開します。(有望見込客の見極め)
おまけですが、ここでセミナーや展示販売、対面販売で効果的なセールステクニックになるのですが、周りで見ているお客様の誰かが目の前で購入する様子を見ると、「今買った方がいいのかも」「私だけ買わないのも何かな」と、購入意欲を刺激してくれる効果があります。
なので、必ず多くの人が見ている状況の中で販売をして、その姿を見てもらうと言う環境を作ります。
これ、セミナーなどで効果大なので、ただ情報をお伝えするだけでなくセミナー会場で、セミナー内で、必ず販売をするようにしましょう。
さて、当時の私は、無意識的に「商いの設計図」を頭の中で作り、見込客集め、見込客から有望見込客に変わったのを見極め、そこにセールスをかけていくというプロセスを実践していたのです。
【見込客の獲得】
今まで見たことない大きなおままごとキッチンで、「レストランごっこ」を呼びかけて、男女問わず集める。
【見込客の啓蒙と行動分析】
男女関係なく、一緒にに遊んでもらう。それを見ている親御さんの反応を注意深く観察する。
【有望見込客の見極め】
普段と違うお子さんの姿を見せることで、可能性を感じているかどうかをチェックする。
【有望見込客へのセールス】
親御さんの心理状態を見極めて、それに対応したトークでご提案をする。
恐らく、展示販売員としてのセールストークだけを勉強していたら、そこで、お子さんを見ている親御さんにアプローチしても、もっと売れなかったと思います。
だって、1台1万円以上もするおもちゃなんて、なかなか手が出ないものです。
それでも、“面白いほど”売れました。
この手の大型のおもちゃは、月に1台売れるか売れないかのところを、10台以上も売ったので、そのデパートの売り場担当マネージャーの方に褒められました。(後で食事をご馳走になりました)
売る商品、サービスばかりにフォーカスし過ぎてしまうと、本当にお客様が求めているものが見えにくくなります。
上述のように、一口にお客様と言っても、その心理状態や関係性から、状態がまったく違います。
適切なタイミングで、適切なオファーを出すことが重要なのです。
これを、予め「商いの設計図」を作って、シミュレーションしておくことで、そのお客様がどのステージにいるのか、どういう状態になっていれば、アプローチしてもいいのかを計画、設計するのです。
しかも、各ステージにおいて、“何を目的にするのか”が明確になっていることも大切です。
あなたのビジネスにおいても、「商いの設計図」を作って、お客様の流れを明確にしていきましょう。
御社用の“売れる売り方”を、整理してみましょう。
私の方で行っているメンタープログラムでは、そんなあなたのビジネスの「商いの設計図」を作り、その集客・販売導線のアドバイスを行っています。
もし、オリジナルの「商いの設計図」を作りたいと言うことであれば、ぜひメンタープログラムにお申し込み下さい。
お待ちしております。