今日は、少しネットからは離れたお話をしたいと思います。
が、ビジネスにとっては大切なお話ですので、最後までお読み頂けると幸いです。
以前にもお話をしたことがありますが、私は学生時代に、東京ディズニーランドでアルバイトをしていました。
最初は、大学までの道のりで、京葉線が開通したということで、学校帰りにバイトができそうというぐらいで応募しました。
なので、最初はミーハーで、アトラクションがいいといリクエストを出したのですが、あいにく空きがないということで、掃除の担当であるカストーディアルに配属されました。
あなたもディズニーランドでみかけたことがあると思います。
しかし、このカストーディアルに配属されたことが、とてもラッキーで、今のコンサルタントとしての仕事に大きく影響をしています。
というのも、お客様か(ゲスト)から見れば、単なる掃除のお兄さんに見えるのですが、その名前に秘密があるのです。
単なる掃除のお兄さんであれば、「パーククリーナー」になるのですが、カストーディアルとなっているところに秘密があるのです。
カストーディアルの意味は、「保管する」とか「管理する」という意味です。
何を管理するかと言うと、ディスニーランドをオープンした1983年4月15日の状態に戻す(維持する)ことが役割ということになります。
ここに、現場のモチベーションを高めるしかけがあるのです。
なぜ、オープン当時の状態に戻す必要があるのか?
それは、お客様への想いやりにあります。
毎日何万人ものお客様をお迎えするのですが、中には、人生で初めてディズニーランドを訪れる方もいらっしゃいます。
そうしたお客様も、また、何度も訪れたお客様にも、オープンした1983年4月15日の状態で常にお迎えするという基本的な考え方を元に、カストーディアルの役割が任されています。
つまり、昨日より今日が良い、今日より明日が良いではなく、常に良いレベルを維持していくことが重要なのです。
これは、サービス業だけでなく、すべてのビジネスにおいても言えることです。
どうしても、マーケティングやセールスを勉強していると、いかにお客様を説得し、買ってもらうようにするのかにフォーカスしがちなので、お客様の気持ちを置いてけぼりにしてしまいます。
でも、お客様も人ですので、お気持ちがあります。
どのお客様に対しても同じように、と言っているわけではありません。
お客様がどのような想いで、あなたのサイトに訪れているのか、何を求めていらっしゃるのかを想定して、それにお応えするしかけ、しくみが必要だということです。
ディズニーランドでは、無くしたものが返ってくるというお話を聞いたことがあるかと思います。
実際、私も、お客様がなくしてしまった歯の矯正器具を探すために、ゴミのコンテナの中に入って探したこともありました。
これは、それで褒められたいという動機ではなく、そのお客様にとっては、最初で最後のご訪問かもしれません。
そうした嫌な想いを持ってお帰り頂くのではなく、もっと楽しい想い出を持ち帰って頂きたいという想いから、私たちは無くされたものを探すことも役割として職務についています。
お客様の気持ちにフォーカスして、仕事をするようになっています。
これは、ある日系の航空会社のCAさんを指導された方(日本発のCAさん)にお伺いしたのですが、CAさんに新聞をお願いした時、もし、ご指定の新聞がすでに出払ってしまっていたと知っていても、必ず、棚を見に行くそうです。
あなたがお客様だったとして、その場で「申し訳ございません。今、切らしております」と言われるのと、「少々、お待ち下さい。確認して参ります」と言って、お断りされるのと、どちらが気持ち的に良いと感じますか?
特にサービス業の場合、お客様と対面する機会が多いので、よりお客様のお気持ちに沿った対応が求められます。
しかし、ネットビジネスの場合も同じです。ネットビジネスの場合は直接、お客様に対面しない分、情報(テキスト、写真、音声、動画など)でお客様とつながります。
ここで、こちらがお伝えしたいことだけをお伝えするのではなく、お客様がどのような想いで自分のサイトにいらっしゃっているのかということに想いを巡らせることで、対応や発信する情報が変わってくるはずです。
ディズニーランドでは、よくマニュアルにあると言われるのですが、通常の作業手順のマニュアルはあるのですが、「無くしものをゴミ箱まで探す」というマニュアルはありません。
なぜ、従業員(キャスト)がお客様のお気持ちに沿った行動ができるのか?ですよね。
それは、ディズニーランドでは仕事を「Duty(デューティー)」と「Mission(ミッション)」に分けて考えられています。
Dutyはいわゆる「やるべきこと=作業」であり、Missionは、ディズニーランドでは、「Give happiness(幸せを届ける)」という基本理念があり、これに沿って仕事をすることが、最初の研修時より教え込まれます。
私たちはどうしても作業効率を追い求めがちなのですが、ここに、Missionが加わることで、もっとお客様視点に変わってきます。
御社に仕事に対するMissionはありますか?
お客様視点に立った仕事ができていますか?
私が常に、マーケティングにおいて、お客様の動向、志向を知るようにしましょうとお伝えしているのは、こうしたディスニーランドでの教育や経験があるからこそ、痛感しているからです。
お客様の気持ちに寄り添う、マーケティングやセールス、仕事の仕方を実践してみて下さいね。
実は、このディズニーランドの仕事の仕方、現場の力について、その中枢にいらっしゃった方が書かれた本が出ました。
なぜ、無くしたものが戻ってくるのかのしくみとしかけについて知ることができます。
また、ディズニー流のコミュニケーション術やプレゼン術など、今のネットビジネスにも参考になります。
もちろん、アルバイトなどを抱えている会社であれば、現場のマネジメントについても学べます。
実は、この本の著者である大住 力さんは、私がアルバイトしていた時の直属の上司の方で、私が、就職活動をしている際、「これからは英語とパソコンだけは極めておけ」と言われ、今に至っています。
当時は、まだ、Windowsもない時代でです。
彼のアドバイスが、今の私を作っています。尊敬すべき、私の人生のメンターのお一人です。
大住さんは、約20年間ディズニーに携わっており、ディズニシーやイクスピアリの立ち上げなどに参画され、最近、独立され、ディズニー流の働き方を広める活動をされていらっしゃいます。
これまでいろいろと出てきたディズニー関連本よりも、より中枢にいらっしゃった方の本なので、とても中身が濃いです。
ぜひ、このお休みにお読み頂き、これからのあなたのビジネスに活かして頂ければと思います。
ご参考までに。
それでは、また。
いつもありがとうございます。