飲食店経営の見直しが、様々な業界、ビジネスにも当てはまることなので、今日もその視点で読み進めて頂きたいと思います。
飲食店では、「味が美味しければお客さんは付いてくれる」と思い、事業されている方が多いのが実情です。
しかし、前回もお話ししましたが、「美味しい」(=品質が良い)のは、最低条件です。
これは、お客様から「選ばれる条件」にはなりません。
例えば、ラーメン屋さんなどは、あなたの周りにもたくさんあると思います。
アメリカでも、海外でも今、ラーメンブームなので、あちこちに増えてきています。
特にアメリカでは、“流行っている”と言うことで、どこもかしこも、とんこつラーメン屋ばかりだったりします。
もちろん、日本で有名なラーメン店の支店なども進出してきていますが、最初のうちは行きましたが、最近はあまり行っていません。
確かに「美味しい」です。しかし、それがよく行くと言う「選ぶ条件」にはなっていないのです。
あなたも良く行かれるラーメン屋さんがあると思います。
なぜ、そのお店に行かれるのでしょうか?
家の近くだから?会社の帰り道にあるから?
きっと、「美味しい」以外の部分で「選んでいる条件」があるはずです。
「選ばれる条件」は、お客様によって様々ありますが、その中でも一番大きい共通しているものがあります。
それは、「居心地の良さ」だったりします。
これは、お店の雰囲気など空間としての居心地の良さもあれば、店員さんマスター、ママなど売り手の方との信頼関係の居心地の良さと言うものもあると思います。
味の良さもさることながら、自分のことをきちんとお客様として対応してくれる、気を配ってくれる、と言う体験が居心地の良さ、選ぶ条件になっていたりします。
なんとなく、足繁く通うお店って、そんなお店ではないでしょうか?
美味しくても、店員の態度が悪い、出てくるまでに時間がかかる、食器が汚れている、などを目にした時、そのお店には二度と行かないとなるでしょう。
「味が良ければお客さんは来てくれるはず」
と言うことが、「選ばれる条件」ではないことは良くお分かりになったと思います。
あなたも何度も通うお店、そう、いわゆる「常連さん」になれるお店によく行きますよね。
そこでは「味」で選んでいるのではなく、定員さんやマスター、ママとの関係、自分と他のお客さんとの関係(距離感)が居心地いいところを選んでいるはずなのです。
これは、集客だけでなく、リピートをしてもらうために非常に重要な要素で、「味」=商品の品質の良さもさることながら、お客様をいかにケアし、居心地良い環境を整えていくかにフォーカスを置くことが重要なんです。
このお客様ケアの一番のポイントは、「体験」と「VIP感」を演出することです。
あっ、勘違いはしないで下さいね。
「お客様は神様です」と、必要以上に媚びへつらうことが、「VIP感」演出ではありません。
もっと簡単で、普通に「気遣ってあげること」。これだけです。
でもね、ほとんどのお店ができていないので、選ばれないんです。
逆に、お客様を気遣ってあげられるお店は、選ばれているのです。
そして、「VIP感」の演出を加速させるのが、「体験」になります。
一番分かりやすい例でお話しますね。
地元などにおっちゃんやおばあちゃんが家族で営んでいる定食屋さんなどありますよね。
味はもちろん、「おふくろの味」であったり、「家庭の味」であったりしますが、例えば、自分の好みであったり、味付けだったり、また、自分の健康(顔色)を見て気遣ってくれたりなど、嬉しいですよね。
さらに、自分で食べた食器を、洗い場まで持っていく。
「ごちそうさま、また来るね。」
常連さんとなったあなたは、「あそこの店、美味しいし、おばちゃんもいい人なので行ってみない」と、友達や後輩などを連れていくかもしれません。
食べ終わった後、「食べ終わった食器はおばちゃんが楽になるよう、持って行ってあげるんだよ」と、“先輩”として教えてあげることもするでしょう。
集客のしかけは、「味」=商品の品質ではなく、こうした「体験」とのその「共有」ができるしかけを設けることで動き出します。
食器を片付けさせることだけが「体験」ではありません。
例えば、私のクライアント様の寿司店に対し、「手巻き寿司パーティ」と言うメニューを加えるよう、ご提案しました。
もうお分かりですよね。
手巻き寿司は、家族やお友達同士でワイワイしながら、自分オリジナルのお寿司を作って、それが良いとか悪いとか、家族や友達同士で話をしたり、最近であれば、インスタに投稿なんてこともあります。
さらに、例えば、初めてだったり、上手な作り方(美味しい具材の組み合わせなど)を定員さんから教えてもらうなどのコミュニケーションができますので、「お客様としてケアされる」と言う体験もして頂けることになります。
さらに、さらに、実はこの「手巻き寿司パーティ」は、ビジネス的にも非常に利益率の高い商品になります。
それもそのはず、調理はせず、切った具材を並べるだけですから、人件費の削減、提供時間の短縮による回転率のアップになりますので、飲食店経営には非常に効果的な商品になります。
さらに、先ほどの「VIP感」を感じることができる商品なので、お友達を連れてくる、教えてあげる、インスタなどのSNSで紹介してくれるなど、リピート利用、紹介集客ができる商品になりえます。
例えば、ラーメン屋さんであれば、自分でスープを選び、麺をゆがき、トッピングをしたオリジナルラーメンが作れる体験ができるお店にしたら?
実は、ビュッフェも、その「体験型」店舗なので、利益率が高かったりします。
アメリカでは、自分では作らないまでも、自分好みのオリジナルのメニューが作れる、「Blaze Pizza」や「Chipotle」と言うファストフード店が人気です。
これも一種の「体験」ですね。
寿司店やラーメン屋さんなどは、こだわりが強い業界でもあるのですが、そのこだわりが利益を生むものであれば良いのですが、だいたいの場合、むしろ効率が悪い結果しか生みません。
もちろん、食材や味のクォリティが高いことが最低条件であることは変わりません。
その上で、こうした“こだわり”や“常識”を捨て、お客様が「体験」を通じて「常連さん」になれるしかけを作ることで、儲けが生み出されるようになります。
もちろん、飲食店だけでなく、その他のビジネスであっても、商品やサービスの品質は必要最低条件であり、「選択の条件」ではありません。
いかにお客様をケアし、「体験」をしてもらい、「常連さん」化することが、儲けを生むしくみになります。
ぜひ、この「常連さん」化のしくみのヒントを下に、あなたのビジネスのオリジナルのしくみを作って、利益を生み出して頂きたいと思います。
もし、そのオリジナルのしくみづくりのヒントが欲しい、後押しが欲しいと言うことであれば、私の方でお手伝いさせて頂きます。
個人コンサルテーション(メンタープログラム)で、マンツーマンで、オリジナルのしくみづくりのお手伝いをしますので、ぜひご活用下さい。