今、小売業などで流行り始めている新しいセット販売戦略についてお話ししたいと思います。
アメリカの小売業ではこれまで、いろいろな新しい販売戦略を展開してきました。
今や当たり前になっている、「イチキュッパ」も初めは、アメリカの小売業から始まったものになります。
1セント(1円)削ることで、頭の桁の数字が下がるので、お客様には、大きく値が下がった印象を与える効果から使われ始めました。
確かに、2,000円と1,999円をぱっと見たら、1円以上の差があるように見えますよね。
そして、その次にきたのが、「Buy One Get One Free」、1個買ったら1個タダと言う販売戦略です。
略して、「BOGO」と呼ばれます。
こちらは在庫処分の目的もありますが、1回の訪問での顧客単価を高める目的があります。
つまり、お店に訪問しても定価では買わないお客様を動かすための戦略になります。
なので、無料の1個分は、“集客コスト”と言うことになります。
これは、余っている在庫があるのであれば、やってみる価値のある戦略ですが、在庫がない場合、また、もっと集客コストを抑えて、顧客単価も上げると言う戦略で出てきたのが、「Buy One get One 50%OFF」です。
これは、1個買ったら、2個目は半額。と言うものです。
しかし、BOGOやBOGO 50%OFFは、あまり日本の小売業では見られません。もっとやったらいいのにと思うほどです。
単純な、「全品半額」「30%OFFセール」が多く見られますが、これではただ利益が削られているだけで、もっと戦略的な値引きを行うべきだと思います。
と言うもの、多くの小売業(だけでなくどのビジネスでも)では、顧客単価を理解していないためだと思われます。
実際、自分のお客様の平均的な顧客単価がいくらか知っていることで、こうした販売戦略が展開することができ、活きてくるわけです。
この顧客単価を理解していると、「送料戦略」も決まってきます。
「○○円以上なら、送料無料」
周りが、とか、一般的にとかで、送料無料の上限を決めていませんか?
この上限設定は、自分のお客様の「顧客単価」を知った上で、それを超える額を上限として設定することがポイントになります。
自分のお客様の顧客単価が、3,000円なのに、周りでは、「1万円以上」だからそこに合わせてしまうと「1万円までは無理だなぁ」と、返って顧客単価を下げることにつながってしまいます。
自分のお客様の顧客単価を知っていれば、それをちょっと超えるラインの額を、送料無料の条件に設定することで、販売促進となります。
そして、この顧客単価を理解した上で、さらに販売促進する新しい販売戦略が出てきました。
それが、「限定商品販売」です。
単純に、「この商品は限定品です」と販売するのではなく、
「○○円以上、お買い上げの場合、この限定商品を半額で購入できます」
と言うBOGOと送料戦略の合わせ技の販売手法になります。
これは、冒頭にもあるハードロックカフェのグッズショップであったのですが、今、他のアパレル販売でも増えてきています。
これは、ラスベガスのハードロックカフェ限定のバックパックなのですが、$70以上購入した場合に、$24で買えると言うものでした。
通常は、$50するのですが、それが半額、しかもラスベガスでしか買えない限定品と言うことで、購買意欲を刺激してくれます。
しかも買い物する際に、計算しながら商品を選びます。
「あと、○○で$70超えるな」って。
結局、私もこの戦略に乗って買って、限定バックパックをゲットしてしまいました。
単純にプレゼントするのではなく、お金を払ってもらった方が、お客様にも購入に対する自己肯定感を感じてもらえるので、非常に効果的です。
購入することを肯定する理由を提供することが非常に大切です。
単純な割引や、限定品販売、送料無料設定をするのではなく、自分のお客様の顧客単価を把握した上で、組み合わせ販売することが、売上、収益を上げるために必要なことになります。
いろいろ売り方も工夫してみて下さいね。